ビジネスアジリティとは?企業にとっての敏捷性の重要性


ビジネスアジリティとは?

最近、ビジネスアジリティという言葉が聞かれるようになってきました。いかがでしょうか? どこかで聞いたことがあるとは思います。バズワード的な言葉なのでしょうか? ただ実は海外ではよく使われる単語であり、昨今ビジネス上必須とも言えます。それでは解説していきましょう。

アジリティとは? 

まずアジリティという単語についてです。意味は敏しょう性、機敏さ、素早さ、などになります。あまり一般的に使われている単語ではないように思えますが、よく使われるのはサッカーやバスケットボールなどのスポーツの世界です。特にワールドカップなどで世界的に盛り上がるサッカーではよく聞かれます。

例えば日本人選手の特長としてアジリティがある、というような使われ方をします。サッカーでは、一般的に大柄な海外選手に比べた場合、日本人選手は若干小柄であり、その点では接触時などに不利になります。その一方でアジリティに優れているのが日本人選手の特長です、といった表現です。なんとなくイメージが沸くと思います、日本人選手は少し小柄ではありますが、敏しょう性に富み、素早い動きができるといった意味です。

同じ速さでも海外選手が持っているような最高スピードのことではなく、あくまで敏しょう性といった瞬間的な速さの意味です。この場合に使われるのがアジリティという言葉です。

ビジネスにおけるアジリティ 

ではビジネス上のアジリティとはどのような意味なのでしょうか?

実は確固たる定義が一般的に定着している言葉ではありません。ただデジタルトランスフォーメーションという言葉と同様に、最初は明確な共通認識の定義がなくとも、こういうことを指すのであろうという認識が徐々に拡がり固まっていきます。ここでは現在考えうる一般的な意味を述べていきます。

前章ではアジリティという言葉について、スポーツにおいての動作を例に解説しましたが、ビジネスにおいては、迅速な判断と敏しょう性をもった実行などに置き換えられます。

一例をあげますと2000年代以前に世界最大の写真フィルムメーカーであった米国のコダック社と日本の大手写真フィルムメーカーであった富士フィルム社のケースがあります。写真のフィルムを開発し、さらにデジタルカメラも自ら発明したコダック社は、2000年代の急激なデジタル化に対応できませんでした。デジタルカメラ普及による写真フィルムマーケットの急激な縮小に対応できずに、2013年についに倒産してしまいます。

一方で富士フイルム社は同じマーケットの急激な変化に対し、迅速な判断により、積極的な新規事業展開を図ります。写真フィルムで培った技術を応用し医療・医薬品、化粧品他新しい事業分野での事業を確立させ、現在では写真フィルム事業の割合は全体の1%にすぎません。今ではデジタルカメラのみならず医療、化粧品などの新しい事業でも有力な企業となっています。

このように市場の急激な変化に対し、的確で迅速な判断と、俊びん性を持った実行力により変革を成し遂げた富士フイルム社は生き残り、さらに大きく成長しまた。一方でそれができなかったコダック社はこの業界で世界最大の企業であったにも関わらず、100年以上の歴史に倒産という形であっという間に一旦幕を閉じることになりました。

この富士フイルム社が成し遂げた企業としての動き、変革がビジネスにおけるアジリティだと言えます。

迅速な判断と素早い行動が求められる現在において

現在ではインターネットの普及や高速化、スマートフォンの普及によるSNSの爆発的な拡がりなど、デジタルコンテンツがあっという間に拡がるようになり、社会環境が急速に変化しています。加えてIoTやAI(人口知能)などによりデジタルデータが蓄積・分析されるようになり社会変革ともいえる変化が起きています。

企業にとっては以前に比べマーケットの変化は非常に速くなったといってよいでしょう。IoTにより蓄積されるデータは膨大になり、AIなどの新技術を使って、マーケットを予測をすることも技術的に可能となりました。

変化の非常に早い現代では、的確で迅速な判断と素早い実行をすることが必要であり、そのためにはこれらのデジタル技術を活用することは必須と言え、さらなるビジネスアジリティが求められています。

まとめ

このようにビジネスアジリティは企業にとって非常に重要であり、マーケットで生き残れるか否かを決めるとても大きな要因です。現代においては大きな企業もあっという間にマーケットから退場を余儀なくされる状況です。

ビジネスアジリティを持つということは、企業の組織の変革なども含め一朝一夕にできるもことではないかもしれません。ただ、デジタル化によりどんどん加速していくマーケットでは必須な要素であり、企業はビジネスアジリティを持って常に変化に対応していくことが求められます。

これからはビジネスにおいてアジリティを意識していくことは必須と言えるでしょう。